レビュー

ひふみ投信の藤野英人著書「投資バカの思考法」を読んだ

先日あまりにもヒマだったので、電子書籍でこちらの本を買って読んでみました。今日はこの「投資バカの思考法」についてレビューしたいと思います(電子書籍なので写真はなしです)。

この本の位置づけ

著者である藤野英人氏は、あの有名なひふみ投信のファンドマネジャーです。今年もTOPIXなどのベンチマークを大幅に上回り、運用状況も好調のようです。

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この本にはこうした良好なハイパフォーマンスを生む投資に対する考え方や哲学がちりばめられた一冊となっていて、すでにひふみ投信を買っているヒトから、これから投資を始めるか検討しているヒトまで幅広く受け入れられる一冊となっています。

通常、投資信託を購入するときはシャープレシオやリスク、過去のパフォーマンスを考慮して検討すると思いますが、実際に運用するのはヒトの判断になります。大事なお金を信託するためには、こうした数値やデータによることよりも、運用するヒトの考え方などを把握することがむしろ大事のように思えます。

で、この本の位置づけなのですが、この本を読むことで、新しい投資術や手法を学べるか、というとそうではなく、基本的には株式投資・資産運用を行うに当たっての著書の考え方を述べたに過ぎません。いわばエッセイのようなものですので、ここをはき違えると「買って損した」ということにもなりかねませんので注意が必要ですね。

主張が明確で読みやすい

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率直なこの本の特徴は、とても読みやすいことです。3時間ぐらいあれば読了できるボリュームです。表現も分かりやすく、著書の考え方が明確ですっきりしているので、読みながら矛盾を感じてつまづく部分はほとんどありません。

世の中の役に立つ会社、社会に価値を生み出し、貢献している会社に投資したいというメッセージが痛く読み手に伝わってきます。

投資が難しいのは「会社はグチャグチャで社長がウソつき」だからです。

ひふみ投信は、経営者に会って投資対象とするかを検討します。以前も本では「ホームページに社長の顔が表示されていない会社には投資しない」などとも書かれていました。しかし、当然社長も自身に不利になるようなこと言いません。それでも社長に会うことは投資に欠かせない、と著者はいいます。

投資は断片の上方から全体のピースを埋めていく作業です。さまざまな情報から「確からしきもの」を推測していくことが投資のおもしろさです。

世の中で客観的に物事を見るとはとても難しい作業である。そこには必ず「主観」が入るから。よって、「見えている景色は。人それぞれ違うこと」「自分が見えている景色とは別の景色があること」を常に意識することが大切であると主張します。

「自分がどう思うか」よりも、「多くの人がどう思うか」を考えることが大切なのです。

投資家は時として現場調査と題して、その店舗に赴いたり、サービスを受けたりすることがあります。この時、偏見を捨てて、自分がどうだったか、よりも市場に受け入れられるのか、多くの人にどのように受け取られるのか、といったことを重視する必要があるのです。

決断とは「しないことを決めること」だと私は考えています。(中略)「必ず失うものがある」のが決断です。

最近は、イナゴ投資家やパクリ投資家など物議を醸していますが、他人のまねをしていることは他人のまねをしていることを「決断」しているだけの話。この決断を自覚していない投資家が非難されるべきであり、イナゴが許容されるどうかは表層的な問題に過ぎないという観点では異論がありません。

 

 投資本ではないことに注意

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この本ではこのような投資に対する心構え、著者の投資に対する思いなどが中心に描かれた作品です。よって、この本を読んだからと言って株式投資の技術があがることはありませんし、もちろん、PERやPBRなんて言葉も全く出てきません。

こうした手法を学びたいのであれば、ほかの本を購入するほうがいいと思いますね。

これから株をはじめようとする人におすすめの一冊

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株式投資の手法についてはあまり書いてはいませんが、これから投資をはじめようとする人にとっては、株式投資の心構え、考え方などが触れられています。「ケインズの美人投票」「損切り」など投資に欠かせないエッセンスにも言及されています。

すでに以前から株式投資を始めてひととおり知識を習得している人には若干退屈に感じるかもしれませんが、読み物として読んでも面白い内容です。ワタシなどはところどころに、はっとさせられる場面も多くありました。

この本を読むことで、株式投資に関する視点を広げる一助になる良書だと思います。ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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