レビュー

「不安な個人、立ちすくむ国家」を読んだ

2017/08/20

経産省の若手有志でつくられたと言われる「不安な個人。立ちすくむ国家」という資料がネット上で大反響なんだそうで。

賛否は大きく分かれていて、「分かりやすい」「省庁がここまで問題提起するのか」といった声から、「一部のエリートの考え方だ」「国は国民のことをちっともわかっていない」などという声が聞かれます。

まあ、いまさらワタシが紹介するまでもない資料ですが、ワタシの感じたことをまとめてたいと思います。もし、関心のある方はこのままお付き合いいただけると幸いです。

斬新な国からの問題提起

△「不安な個人、立ちすくむ国家」資料より抜粋

ワタシの意見としては、国がタブーとされてきた高齢者優遇社会への批判を切り込んできた点は評価できると思います。我々国民の立場からしたら「そんなことわかっている」「いまさらそんなことを言っても遅い」そんな声が聞こえてきそうです。

ただ、国からこうしたシルバー民主主義からの脱却という観点を国自ら発することは稀有でしたし、タブー視されてきた部分を社会問題として議論のテーブルにあげる点はとても新鮮に感じられます。

ワタシが感じることは、とにかく現行の社会制度は複雑すぎるという点。このことが我が国の生産性の問題につながっているのではないかと。

例えば税制。そして、福祉、年金などの社会保障全般。私たちが税の申告をするとき、社会給付を受けようとするときどれだけの手間がかかるのか。

最近は手続きの電子化やマイナンバー制度によって手続きを簡素化にする流れもあります。

そもそも必要な手続きを簡素化するなどのフローの見直しをせずにシステム化しても、使われなくなるシステムになるか、システムを使うために非効率になるかのどちらかです。

逆に言えばきめ細かい制度設計、という評価もできるのでしょうが、これからは官民問わずシンプルな社会の確立が求められているのではないでしょうか。

他にも多くの問題提起がいっぱい

△「不安な個人、立ちすくむ国家」資料より抜粋

他にもこの資料には様々な問題提起がなされています。

  • 定年後の生活(労働へのいざない)
  • 死ぬ場所の選択(自宅か病院か)
  • こども貧困問題
  • 非正規雇用、教育格差

などなど。年齢という外形的な基準で高齢者という枠組みを決めるべきでない、という意見や、超高齢社会を迎える中で単なる延命させるだけの治療にムダ金をつっこむべきなのか、といった様々な問題提起がされています。なかなか読みごたえがあります。

読む人によっては、そっかー、昔のヒトは良かったなーと思うヒトもいるかもしれませんね。

色々な疑問を感じるところも

△「不安な個人、立ちすくむ国家」資料より抜粋

もちろん、読んでいて問題も感じました。

生産性の効率化についても、そもそもこうした複雑な社会や規制を作り出したのは誰なんだ、とか。国の内部の自己批判であって、じゃあ、分かってるんなら経済産業省でできるところから見直すべきでしょう、とか。一部のネットでは批判の大半が厚生労働省所管のものが多い、といった指摘もなされているようです。

それでも一読する価値あり

様々な賛否のあるこの資料ですが、このような議論が巻き起こったこと自体に意義があることだと思います。

結論の記載がない尻切れトンボのような資料ですが、あえてこのパートは削除した、とのはなしもあります。その結論、解決策はワタシたち国民一人ひとりの総意によって作られるべき、ということを示唆しているのかもしれません。

かくいうワタシも経済的自由を獲得することを目指していますが、自分自身や家族の将来、そして子供たちの未来を考えるためのきっかけになる資料です。ボリュームのある資料ですが、一度目を通してみることをお勧めします。

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