新型コロナウイルスによるイベント中止で税優遇が受けられる?

今日は、新型コロナウイルスの影響で中止となったイベントのチケット代金に対して受けられる税優遇の内容についてまとめてみます。
今年は東京五輪なども含め、全国各地様々なイベントが予定されていたものの、政府からは新型コロナウイルスの影響で活動自粛要請がありました。このため、多くのイベントが中止に追い込まれています。
そんな中、主催者やアスリート・アーティストに対して、寄附という形でチケット代金の払戻しを受けないとすることで、税優遇を受けられる制度が新設されるとのことです。
今日は、この税優遇制度の概要についてまとめてみます。
税優遇制度の内容

今回の税優遇制度の概要のポイントはこんな感じです。
- 来年の確定申告の手続きが必要
- 文化庁・スポーツ庁が指定したイベントに限定
- イベント主催者から証明書を取り寄せる必要あり
- 所得税と住民税両方から減税となる
- そもそも払戻しされないイベントは対象外
文化庁のホームページによれば…
払い戻しを受けなかったチケット代金(例:1万円の場合)
・最大4000円の所得税の減税となる
・住民税分は別途一定額減額される
払い戻しを受けなかったチケット代は、「寄附」として扱われることになります。文化庁のパンフレットを紐解くと、
・所得控除としての寄付金控除
・税額控除としての寄附金税額控除
どちらでも選択できるようですが、一般的には寄附金税額控除として確定申告するほうがお得になるはずです。
いわゆる、ふるさと納税の寄附金税額控除と同じ扱いとなり、以下の計算式で算定された金額がそのまま減税される、ということになります。
所得税減税分=(対象チケット代金‐2,000円)×40%
1万円のチケット代の場合、9800円×40%=3,920円が所得税から減税されることになります。
さらにここから住民税も減税されることになり、
住民税減税分=(対象チケット代金 ‐2,000円)×10%
980円住民税が減税されます。よって所得税と住民税を合わせると、チケット代金のうち、約半分近くの税金が戻ることになります。
まあ、それでも、一部でも戻ってくるわけですから、確定申告しておいたほうが良いでしょう。
税金の優遇を受けるための注意点
返金を受けないチケット代金について税優遇を受けるためには、確定申告を行う必要がありますが、それ以外にも何点か注意点があります。
文化庁・スポーツ庁の指定が必要
税金の優遇が受けられるイベントは、中止にあればなんでもオッケーというものではないんです。
文化庁・スポーツ庁が税優遇を受けられるイベントだよ、という指定を行ったイベントのみが対象となります。
この指定には、主催者側からの申請に基づくことになります。主催者側においても、税優遇を受けられるための手続きに協力的かどうかがポイントになります。
主催者から証明書を取り寄せる必要がある
確定申告する際にはイベント代金の払い戻しを受けていない、という証明書を添付する必要はあります。
もしも、あなたが税優遇制度を使おうと思ったら以下の手続きを行う必要があります。
- 主催者に連絡
- 対象イベント証明書を主催者からもらう
- 払戻請求権放棄証明書を主催者からもらう
やはり、主催者から証明書などをもらう必要があります。うむ、なんかちょっと面倒ですね…
上限金額は20万円まで
年間ごとに合計20万円までのチケット代金分が税金の優遇対象となる上限とされています。
また、2020年2月1日から2021年1月31日までに中止となったイベントが対象になりますので要注意ですね。
そもそも払戻しが受けられないイベントは対象外
今回の税制優遇策はあくまで「寄附」としての取り扱いです。なので、払戻しできるけど主催者に払い戻しを求めない場合に、今回の税優遇が受けられます。
なので、先ほど例に出した東京マラソンのように、そもそも払戻しが受けられないイベントは対象とならないことになります。
最後に

ということで、イベント中止に伴ってチケット代金の返金を求めない場合の税優遇制度についてまとめてみました。
感想としては、手間はかかるばかりだけど、金銭面で応援したい、という方には有効なやり方かもしれません。
まずはどのようなイベントが対象となるのか、文化庁・スポーツ庁のホームページに注目ですね。
なお、制度の概要について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
それではまた明日!