今日は、配当所得等に係る申告手続きの簡素化と、国でどのような議論が起こっているのかについてまとめます。
そもそも申告手続きの簡素化とは何か?
配当金を受け取った場合、税金の支払い方として3つの方法があるのです。
- 源泉徴収
- 確定申告(総合課税)
- 申告分離課税
一番簡単なのは源泉徴収。
配当金が我々の証券口座に振り込まれる場合、税金分が勝手に控除されますので、手続きを行うことなく、税金を支払うことができます。
ただ、この場合、収入によっては多く税金を支払い過ぎている可能性があるのです。
これを取り返すためには一定の手続きが必要なのですが…
今、国では、この手続きを簡素化するための議論が行われているのです。
現行制度の問題点
この多く払い過ぎた税金を取り戻すためには所得税と住民税それぞれに課税方法を選択する手続きが必要となります。

- 確定申告(所得税)
- 住民税申告
それぞれに手続きを行う必要があり、この手続きを簡素化しようという動きがあります。
- 住民税申告不要を選択した人は約3%
- 住民税は電子申告に未対応で納税者負担大
- 税理士や自治体側の事務処理が煩雑
- 社会保険料負担の不公平が生じている
日本税理士会連合会が実施したアンケート調査によると、昨年の確定申告で課税所得900万円以下の人にアンケートを取ったところ…
- 所得税で総合課税方式、住民税で申告不要方式を選択した者
→ 180 人(約 3.9%) - 所得税で申告分離課税方式、住民税で申告不要方式を選択した者
→151 人(約 3.3%)
特定の人しかこの方法で申告した人っていない結果になっているのです。
今後の手続きはどう変わるの?

このような問題点について、国の検討会の中ではどのような意見が出ているのか。
- 課税方式の選択によって所得の範囲が異なることは望ましくない。公平性の観点からも課題である。
- 住民税申告が電子申告に対応してないことなどを踏まえ、所得税の確定申告のみで完結することが望ましい。
これまで確定申告で総合課税で申告し、住民税で申告不要とする、という二重の手続きを廃止。
確定申告に住民税では申告不要とする記載欄を設けることで、申告する側の負担を軽くする、という方法が取られる方向で検討が進められています。
個人投資家にとっては手間が省けて朗報なのね!
このことが実現できれば、個人投資家はわざわざ申告不要のために住民税申告書を提出する必要がなくなるわけです。
報告書の中には気になる表記も

ただし、国の検討会の中ではこんなネガティブな意見も寄せられています。
- 公平性の観点から、所得税と個人住民税とで課税方式を一致させることが望ましいのではないか。
- 配当所得等や譲渡所得についても所得税と同じ課税標準とするのが理想ではないか。
- この制度は、ほとんどが国民健康保険料対策として利用されているという実感がある。
- 我が国の財政状況が悪化していく中で、課税方式の選択によって税負担能力を有する者が選択的に社会保険料負担の軽減を図ることができる点について、社会的に持続可能な社会保障制度につながるのかというメッセージを発信していかなければならない。
そして、この委員会の報告書はまとめとして以下のよう意見で結ばれています。
- 所得税と個人住民税とで異なる課税方式を選択するで、結果として、社会保険料等にも影響する点で、公平性の観点から課題がある。
- 所得税と個人住民税とで所得を一致させる観点から、将来的には、課税方式を一致させる方向で見直しを行うことも考えられる。
- 、国民健康保険や介護保険などの個人住民税の税情報を活用している各社会保障制度では、税額計算上は所得に含まれない配当所得等を含めて保険料等の判定をできるような仕組みを検討していくことも必要。
ひょっとしたら、社会保険料負担のメリットがなくなるほか、課税方式の選択自体も廃止になってしまうかもしれませんね。
最後に

ということで、今日は配当所得等に関する課税方式の選択と、今、国でどのような議論がなされているかについてまとめてみました。
ちなみに私はめんどくさいので住民税申告は行っていませんが、確定申告で一本化されれば、ぜひ申告してみたいなと思いますね。
とりあえず確定申告して、昨年株で損を分をとりかえさなくちゃね。
参考サイト:
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